柔軟性と信頼性を両立するための基板材料選定と実装ポイント
1. はじめに
柔性PCB(FPC)は、折りたたみスマートフォン、スマートウォッチ用バンド、医療用カテーテル機器など、曲げ動作が求められる分野で広く採用されています。しかし、FPCは繰り返しの屈曲や曲げ疲労によって配線が断線しやすく、特に曲げ半径が5mm以下になる環境では故障リスクが大幅に上昇します。
業界データでは、FPCのアフターサービス不良のうち約45%が配線トラブルに起因するとされ、あるウェアラブルメーカーでは、修復後の柔軟性不足により、5000回の屈曲で再断線が発生し、修理品の返却率が30%を超えた事例も報告されています。
柔性PCBの修復には、IPC-6012F(柔性プリント配線板仕様)第7章およびIPC-7721第7章(柔性回路のリワーク/修理)が求める“修復後の屈曲信頼性の維持(10万回屈曲で断線なし)”が必須条件となります。
PCBGOGOはこれまでに、60社以上のウェアラブル-医療機器メーカーに対して柔性PCB修復ソリューションを提供し、5年間にわたり多様な修復案件をサポートしてきました。本稿では、材料選定、工法、信頼性検証の観点から、柔性配線修復における重要要素を解説します。
2. 技術的な核心ポイント
柔性PCBの断線修復における最大の課題は、「補強強度」と「柔軟性」の両立です。特にPI(ポリイミド)基材を用いたFPCでは、以下の3点が修復品質を左右します。
■ 1. 修復材料の柔軟性
修復に使用するフライワイヤや導電性接着剤は、高い伸び性能を持つことが必須です。
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フライワイヤ:延伸率15%以上の錫メッキ銅線
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導電性接着剤:断裂伸び100%以上の柔軟性タイプ
PCBGOGOの内部試験では、一般的な硬質導電接着剤では約5000回の屈曲で断線が発生する一方、柔軟性タイプの導電接着剤では10万回の屈曲試験に耐えることを確認しています。
■ 2. 低温かつ短時間のはんだ付け管理
PI基材の長期耐熱上限は約280℃であるため、修復はんだ付けでは260℃以下、作業時間5秒以内に制御する必要があります。温度が280℃を超えると、Tgが280℃から250℃へ低下し、柔軟性が損なわれます。これはIPC-6012F 7.2項の要件にも適合しています。
■ 3. カバーレイ材料の柔軟性と密着性の確保
カバーレイは元のFPCと同等の柔軟性を持ち、断裂伸び150%以上が望まれます。
GB/T 13542.5では、カバーレイの剥離強度は0.8N/mm以上が規定されており、過度に硬い材料を使用すると局所的に応力が集中して再断線の原因になります。
PCBGOGOが提供する柔性修復用材料
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フライワイヤ(直径0.1mm、延伸率18%)
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柔性導電接着剤(断裂伸び120%)
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柔性PIカバーレイ(厚さ0.03mm)
はいずれも10万回の屈曲試験をクリアしています。
3. 実装プロセス
3.1 柔性PCB修復の4ステップ手法
1. 基材の前処理
断線部を柔性PCBクリーナー(非腐食性)で清掃し、必要に応じて薄い残留接着剤を極細刃で除去します。
露出銅面のサイズは0.2mm×0.2mm以上を確保。
IPC-7721 7.3項では、前処理後に基材の柔軟性が損なわれていないこと(180°曲げで亀裂なし)が求められます。
2. フライワイヤの接続
直径0.1mmの柔性フライワイヤを用い、260℃未満、3秒前後で接続。
はんだ点は0.15?0.2mmに収め、過大なはんだ量は柔軟性を損なうため避けます。
接続後、曲げ半径5mmの屈曲で剥離がないことを確認します。
3. 柔性導電接着剤による補強
頻繁に曲げられる領域では、導電接着剤を0.04mm厚で塗布し、60℃で30分低温硬化。
硬化後の附着力は0.6N/mm以上が目安です。
4. カバーレイ封止
厚さ0.03mmの柔性PIカバーレイを貼り付け、120℃で熱圧着。
剥離強度が0.8N/mm以上であること、180°曲げで浮きがないことを確認します。
3.2 用途別の特殊対応
■ 医療用カテーテルFPC(曲げ半径3mm以下)
高温作業が難しいため、はんだ付けは避け、導電接着剤と柔性カバーレイの組み合わせが適しています。
固化後、曲げ半径3mmで10万回の屈曲試験を行い、抵抗変化が10%以内であることが基準となります。
材料はISO 10993に基づく生体適合性を満たす必要があります。
■ 折りたたみスマートフォンFPC(動的屈曲10回/分)
修復箇所の背面に柔性リインフォーステープを追加し、応力分散を実施。
10万回の動的屈曲後、抵抗変化を5%以内に抑えることが目標です。
■ 極小サイズFPC(10mm×10mm未満)
位置ズレを避けるため、治具による固定が必須。
修復後の線幅誤差±0.02mm、インピーダンス偏差±4%以内が目安となります。
まとめ
柔性PCBの修復では、「材料の柔軟性」と「工法の熱影響管理」が最重要となります。
適切な材料選定、温度管理、カバーレイ処理を行うことで、修復後も元のFPCと同等の屈曲信頼性を確保することが可能です。
PCBGOGOでは、ウェアラブル機器/医療機器向けFPCに最適化した修復材料、専用ツール、屈曲試験(10万回)を含む総合的な修復サポートを提供しています。
柔性PCBの断線対策や修理でお困りの際は、ぜひPCBGOGOへご相談ください。
高周波PCB積層の材料選定とプロセス協調技術|高周波PCB設計ガイド
高周波基板(積層PCB)は、10GHz以上の高周波信号伝送において、材料選定とプロセス管理が性能に直結します。本記事では、高周波PCBの積層設計における材料パラメータ、基材選定、銅箔・プリプレグ(PP)選定、およびプロセス協調技術について解説し、実務に役立つポイントを紹介します。

1. 高周波PCB積層における材料パラメータの重要性
高周波PCB設計では、基材の誘電率(Dk)、誘電正接(Df)、銅箔粗さ(Ra)、Tgなどのパラメータが信号伝送性能に直結します。特に10GHz以上の信号では、以下の条件が推奨されます:
Dk:安定かつ低め(Dk≤3.8@10GHz)、偏差±0.05以内、周波数1〜40GHzでDk変動≤5%
Df:極低(Df≤0.004@10GHz)、Dfを0.001下げるごとに28GHz信号の伝送損失を10mmあたり0.05dB低減
銅箔粗さ Ra:≤0.1μm(高周波ではスキン効果が顕著で、粗さ増加は損失増加の原因)
環境耐性:5G基地局では85℃/85%RH耐性、衛星通信では-55〜125℃耐性と放射線耐性
高周波PCBにおける材料選定の不適切は、伝送損失を50%以上増加させる可能性があります。メーカーは「材料パラメータと高周波性能の相関モデル」を活用し、最適材料を選定することが重要です。
2. 高周波PCB積層の基材選定
(1) 高周波用途別基材
5G基地局・ミリ波(28/39GHz):Rogers 4350B、Taconic TLX-8
Dk=3.48±0.05@28GHz、Df=0.0037@28GHz、Tg=150℃
28GHz信号100mmの伝送損失は2.8dB(一般FR-4は5.6dB)
高速シリアル通信(PCIe 5.0 32Gbps、DDR5):生益 S1000-2、松下 R-1515
Dk=3.8±0.05@10GHz、Df=0.004@10GHz、Tg=170℃、Ra=0.08μm
コストを抑えつつ高周波安定性を確保
射頻モジュール(2〜5GHz):Rogers 4003C、生益 S9100
Dk=3.55±0.05@5GHz、Df=0.0027@5GHz、Tg=140℃
低Dfで5GHz信号損失を最小化
衛星通信・高温環境(-55〜125℃):Rogers RT/duroid 5880、ポリイミド基材
Dk=2.2±0.05@18GHz、Df=0.0009@18GHz、耐放射線100krad
超高周波信号に最適、耐環境性に優れる
(2) 基材厚さとインピーダンス設計
微帯線50Ωの場合(Dk=3.8):
H=0.1mm → W=0.18mm
H=0.15mm → W=0.22mm
H=0.2mm → W=0.26mm
厚さ偏差±0.005mmでインピーダンス偏差±1Ω
多層積層では、高周波信号層に低Df基材、電源層・低速信号層にFR-4を組み合わせ、Tg差≤30℃で剥離防止
3. 高周波PCB積層の銅箔・プリプレグ(PP)選定
(1) 銅箔
タイプ:VLPまたはRTF、Ra≤0.1μm
厚さ:35μmで28GHzスキン深さ対応、グランドプレーンは70μm
効果:VLP銅箔で伝導損失を30%低減
(2) プリプレグ(PP)
誘電特性:基材に一致(偏差≤±0.1)、Df≤0.004
流動性と厚さ:流動度15〜25%、層間隙≤0.05mm、気泡率≤0.1%、総厚偏差≤±5%
4. 高周波PCB積層のプロセス協調
(1) ラミネーション
昇温1〜2℃/min、固化180℃±2℃、保温60±5分
圧力30±2kg/cm²、層間空隙≤5μm
超音波測定で厚さ偏差≤±3%
(2) ドリル加工
孔径≤0.2mmはレーザードリル推奨、精度±1μm、Ra≤0.5μm
バックドリルで残孔長≤0.1mm、寄生容量0.2pF→0.1pF
(3) 表面処理
高周波信号パッドは金めっき推奨(金0.1μm、Ni 2μm、接触抵抗≤50mΩ)
地平面・シールド層はOSP可(厚さ≤0.5μm)
まとめ
高周波PCB積層では、材料選定(基材、銅箔、プリプレグ)とプロセス管理(ラミネーション、ドリル、表面処理)が高周波伝送性能に直結します。適切な設計と精密な製造により、10GHz以上の信号でも最小損失で伝送可能です。
HDI基板におけるブラインドビアの隠れたメリット
進化を続けるエレクトロニクスの世界において、HDI(高密度相互接続)PCBは、より小型-高速-高性能なデバイス実現の最前線に立っています。その中でも特に注目される技術が「ブラインドビア」の活用です。この記事では、HDI基板におけるブラインドビアの真の価値に迫り、その利点を深掘りしていきます。
ブラインドビアとは何か?
ブラインドビアとは、外層から内層への接続に用いられるビア(ビアホール)の一種で、基板全体を貫通せず、片面からしか見えない構造を持ちます。通常、レーザードリルで高精度に加工され、銅めっきによって導通性を確保します。
HDI PCBでは、部品密度が高くスペースが限られる中で、特定の層同士を接続するブラインドビアが重要な役割を果たします。これにより、必要のない層を通過せずにすみ、より自由度の高い設計が可能になります。

HDI基板におけるブラインドビアの主な利点
1. コンパクト設計へのスペース最適化
ブラインドビア最大の魅力の一つは、基板上の貴重なスペースを節約できる点です。スルーホール(貫通ビア)はすべての層を貫通し、他の層での配線の妨げとなりますが、ブラインドビアは必要な層間だけを接続し、残りの層を自由に活用できます。これにより、基板サイズを最大30%縮小できるケースもあります。
2. 高速信号における信号完全性の向上
高速回路設計では、信号完全性(シグナルインテグリティ)が製品性能に直結します。ブラインドビアは信号の伝送経路を短く保ち、反射やクロストークを抑制します。特に10GHz以上の高周波信号では、スタブ(未使用のビア部分)を排除することにより、信号損失を抑えることができます。これにより、ノイズや遅延の発生を防ぎ、通信の安定性が向上します。
3. 配線密度と設計自由度の向上
ブラインドビアを活用することで、ビアが不要な層に配線スペースを確保でき、より高密度な回路設計が可能になります。たとえば、スマートウォッチなどのウェアラブル端末において、ブラインドビアの使用により内層の配線密度を50%以上向上させることができます。
4. 信頼性の向上
ブラインドビアは、深さが浅く、アスペクト比(ビアの深さと径の比率)が低いため、めっき不良や空隙が発生しにくくなります。通常、HDI設計ではアスペクト比1:1以下が推奨されており、高い信頼性を確保できます。これは特に、自動車?航空宇宙?医療機器など、厳しい環境下でも安定動作が求められる用途において有効です。
コストと性能のバランス
確かに、ブラインドビアはレーザードリルや順次積層など高度な技術を必要とするため、一般的なスルーホール設計よりも製造コストが高くなる傾向にあります。1平方インチあたりの製造コストは10?20%高くなる場合があります。
しかし、基板サイズや層数の削減によって、材料費や製造工程数が減り、トータルでのコスト削減が可能になります。さらに、信号品質の向上による製品性能の向上や歩留まり改善によって、コスト以上の価値を得られることが多いです。

高速PCBにおけるブラインドビアの活躍
*通信機器:5G通信(28GHz以上)の高速信号伝送において、ブラインドビアは信号損失を抑え、安定した通信品質を実現します。
*コンシューマー機器:スマートフォンやタブレットでの超薄型化-高性能化を支えます。
*医療機器:ポータブル診断装置やウェアラブル医療デバイスの小型化と多機能化に貢献します。
*自動車電子:ADASやECUなど、厳しい耐熱-耐振動環境において高い信頼性を発揮します。
設計時の注意点
ブラインドビアを活用するためには、層構成やビア径 - 深さなどを正確に設計し、製造メーカーの対応範囲を確認することが不可欠です。特に、シミュレーションを活用したインピーダンス制御や信号解析は、設計初期段階で行うのが理想的です。
また、信頼できるHDI製造パートナーと連携することで、設計最適化やコストパフォーマンスの最大化が可能になります。

まとめ
ブラインドビアは、HDI基板の設計における隠れたキーテクノロジーです。スペースの最適化、高速信号の品質向上、配線の柔軟性、そして高い信頼性など、現代のエレクトロニクス製品に求められる性能を一手に引き上げる力を持っています。
コストとのバランスを考慮しつつも、長期的には設計効率と製品競争力の向上につながるため、次世代電子機器開発において積極的に活用する価値があります。
これからのPCB設計では、ブラインドビアの可能性を最大限に引き出し、よりコンパクトで高性能な製品を目指していきましょう。
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パッド内ビアVS传统的ビア:あなたのPCBに適した選択はどれ?
プリント基板(PCB)の設計を行う際、重要な意思決定の一つに、適切なビアを選択することがあります。
ビアはPCBの異なるレイヤーを集線するために不可欠な要素ですが、すべてのビアが同じように作動するわけではありません。
そこで、本ブログでは、パッド内ビア(ビアインパッド)と传统的なビアの異なる類型(通端ビア、ブラインドビア、埋め込みビア)の違いを述べ、いつ、どのタイプのビアを選ぶべきかを解説します。

ビアとは?なぜPCBで重要なのか?
ビアは、異なるPCBレイヤー間の電気的接続を可能にする小さな持続性のある道路です。
多層板でビアがなければ、各レイヤー間の信号や電源を传伝すことができず、正常に作動しません。
このビアの類型選択は、ボードの性能や制造性、コストに大きな影響を与えます。
パッド内ビアとは?
パッド内ビア(VIP:Via-In-Pad)は、サーフェスマウント部品のパッド直下またはパッドの内部にビアを配置する技術です。
传统的なビアがパッドの外部に配置されるのに対して、パッド内ビアはスペースを大きく節縮できるため、高密度設計に最適です。
このビアは、正常、電子炭素等の塑料で埋めた後、きれいにメッキメッキに録金され、平たんでな縦接パッドを実現します。
特にBGAやQFNなどのピッチパッケージが小さい部品の使用方に適しており、部品の下にビアを配置することで、より小型化されたボードを実現できます。

传统的なビアとは?
传统的なビアは、パッド外部に配置される通端ビア(プル-スルービア)やブラインドビア,埋め込みビアを含む、常規的なビアの類型を指します。
これらのビアは配置に多くのスペースを要するため、縦接のやり取りに平均化が求められます。
通端ビアは、PCBを一線に穿通して、上下のレイヤーを結ぶもので、持続性に優れ、制造コストも低いのが特徴です。
その他、ブラインドビアや埋め込みビアはHDI設計に適しており、レイヤー数を抑えたり、表面空間を有効活用するのに有用です。
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いつ、パッド内ビアを使用すべきか?
高密度設計を行う場合
BGAやQFNなどの細ピッチ部品を使用する場合
高速通信で電気信号の正確性を保ちたい場合
細かい基板や気軟型製品のスペースの制約が強い場合
熱管理が重要な場合
パッド内ビアはこれらの利点を持ちますが、制造手順が複雑でコストが高くなるため、使用する場合を適切に見極めることが大切です。
あなたのPCB設計の成功のために、適切なビアを選択しましょう。
セラミックPCB:高温環境における利点と用途
急速に進化するエレクトロニクスの世界において、プリント基板(PCB)は、消費者向けガジェットからミッションクリティカルなシステムに至るまで、無数の機器の中核を担っています。その中でも、セラミックPCBは過酷な条件、特に高温環境において卓越した性能を発揮することで際立っています。これらの先進的な基板は、信頼性、熱管理、耐久性が求められる分野で不可欠な存在となっています。
航空宇宙のアビオニクス、車載制御モジュール、大電力産業システムの設計に関わっている場合でも、セラミックPCBの利点を理解することで、次のプロジェクトにおいてより的確な判断が可能となります。本記事では、セラミック基板の特性と、それが極限環境でいかに優れた性能を発揮するかについて詳しく解説します。
セラミックPCBとは?
セラミック 基板は、基板材料として酸化アルミニウム(Al₂O₃)、窒化アルミニウム(AlN)、炭化ケイ素(SiC)などのセラミック材料を使用したPCBであり、一般的なFR-4(ガラス繊維強化エポキシ樹脂)とは異なります。有機系ラミネートに依存する従来のPCBと異なり、セラミックPCBは、セラミックの本質的な特性を活用し、優れた熱伝導性、電気絶縁性、機械的強度を提供します。
製造には、高温同時焼成セラミック(HTCC)、低温同時焼成セラミック(LTCC)、直接銅接合(DCB)などの特殊なプロセスが用いられます。その結果として、従来のPCBでは機能しないような環境でも、複雑な回路設計を支える堅牢なプラットフォームが実現されます。
セラミックPCBの主な利点
セラミック基板は、高温および高信頼性の用途において第一に選ばれる存在となる数々の利点を持っています。以下にその主な利点を詳述します。
1. 優れた熱伝導性
セラミックPCBの最も際立った特徴は、その高い熱伝導性です。たとえば、窒化アルミニウム(AlN)は150〜230 W/m-Kという高い熱伝導率を誇りますが、FR-4はわずか0.25 W/m-Kに過ぎません。これはつまり、FR-4基板では層間剥離や故障を引き起こすような熱負荷にも、セラミック基板は耐えられるということです。
実際、幅1mm×厚さ0.3mmの銅トラックに100Aの電流を流した場合、温度上昇は約17°Cに抑えられ、2mm幅のトラックではわずか5°Cにまで下がります。このような効率的な熱拡散は、ホットスポットの発生を防ぎ、高出力用途での安定した性能を保証します。
2. 高温耐性
セラミックPCBは、従来のPCBをはるかに超える高温環境でも安定して動作します。酸化アルミニウム基板は最大800°C、炭化ケイ素基板はそれ以上の温度にも耐え、航空宇宙の推進システムや産業用炉といった極限環境に理想的です。
FR-4のガラス転移温度(Tg)は130〜170°C程度で、それを超えると剛性を失い、故障のリスクが高まります。セラミックPCBの熱的安定性は、過酷な条件下での長期的な信頼性を確保します。
3. 低熱膨張係数(CTE)
CTE(熱膨張係数)が小さいということは、加熱時の膨張が少ないということです。セラミック材料のCTEは2.6〜3.5 ppm/°Cと、半導体であるシリコンと非常に近く、熱サイクルによるストレスを最小限に抑えます。
一方、FR-4のCTEは14〜17 ppm/°Cと大きく、シリコンとの熱膨張の不一致が原因で、長期的には亀裂やはんだ剥離などの信頼性問題を引き起こす可能性があります。
4. 優れた電気絶縁性
セラミック材料は、10〜20kV/mm以上の高い絶縁耐力を持ち、高電圧回路でも安全に動作します。また、誘電率が6〜10と比較的低く、誘電損失も小さいため、RF通信などの高周波用途でも信号の歪みを抑えることができます。
5. 機械的強度と耐久性
セラミックは剛性と靭性に優れ、振動や衝撃に強い特性を持ちます。FR-4のように曲がったり亀裂が入ったりすることなく、過酷な物理環境下でも形状と性能を保ちます。加えて、耐食性、耐湿性、耐紫外線性に優れ、石油-ガス分野のような腐食性環境でも信頼して使用できます。
6. 高密度-小型設計が可能
セラミック基板は平坦で滑らかな表面を持ち、レーザーによる高精度なビア形成(通孔0.06mm以下)により、密度の高い実装が可能です。航空宇宙やMEMS、LTCC多層基板のように、限られたスペースに多機能を搭載する設計で特に威力を発揮します。
高温環境での使用例
セラミックPCBは、極端な温度や高電力が求められる用途で特に優れたパフォーマンスを発揮します。以下に主な適用分野と実例を紹介します。
1. 航空宇宙電子機器
人工衛星通信モジュールやアビオニクスは、-55°Cから大気圏再突入時には200°C以上という極端な温度差に晒されます。窒化アルミニウムや炭化ケイ素製のセラミックPCBは、このような条件下でも熱的安定性と高周波性能を維持します。たとえば、レーダーシステム用の多層セラミックPCBでは、低誘電損失によって正確な信号伝送を実現しています。
2. 自動車エレクトロニクス
EVやハイブリッド車では、バッテリー管理やモーター制御など高電力を扱う電子制御ユニットが求められ、200°Cを超える環境にも耐える必要があります。セラミックPCBは高い熱伝導率と低CTEによって、安定した動作を可能にします。
3. 産業用-電力用電子機器
再生可能エネルギー向けのインバータやモーター駆動装置などでは、セラミックPCBの高圧耐性と熱管理性能が活躍します。例えば、600Vで動作する太陽光発電インバータでは、セラミックPCBによって接合部温度を175°C以下に保ち、製品寿命を延ばしています。
4. 軍用-防衛機器
ミサイル誘導装置や堅牢型通信機器では、極端な振動、熱、化学薬品への曝露に耐えなければなりません。セラミックPCBは、300°Cでも高周波信号の整合性を保ち、厚膜回路により優れた性能を実現します。
5. LED照明-パワー半導体
高出力LEDやパワーMOSFETなどは熱に非常に敏感です。LTCC技術を用いたセラミックPCBは、LED結温を120°C以下に保つことができ、信頼性と寿命を向上させます。
課題と考慮点
セラミックPCBには多くの利点がある一方で、以下のような課題も存在します:
* コスト:AlNなどの材料コストおよび特殊製造工程により、FR-4よりも価格が高くなる傾向がありますが、信頼性重視のアプリケーションではその投資は妥当です。
* 脆性:セラミックは割れやすいため、組立時の取り扱いには注意が必要です。
* 設計難易度:DFMルールや材料特性を理解したうえで設計しないと、インピーダンス不整合やクロストークなどの問題が発生する可能性があります。
しかし、DPC(ダイレクトプレーティングカッパー)やAMB(活性金属ろう付け)などの新技術によって、これらの課題は徐々に解決されつつあります。
まとめ:過酷な条件に耐える信頼の基板
セラミックPCBは、高温-高信頼性アプリケーションにおいて、優れた熱伝導性、低CTE、電気的-機械的特性によって、航空宇宙、自動車、産業、軍事分野で不可欠な存在となっています。コストや設計の複雑性が課題ではあるものの、「失敗が許されない」設計においては、その利点が圧倒的に勝ります。
PCBGOGOでは、高品質なセラミックPCBの製造とカスタム設計サポートを提供しています。厳しい熱条件や信頼性要件に対応するパートナーをお探しでしたら、ぜひ当社にご相談ください。今すぐお問い合わせいただき、セラミックPCBの性能をご体感ください。
RoHS準拠のPCB製造:知っておくべきポイント
現代の電子業界において、環境規制は電子部品の設計、製造、流通の在り方を大きく左右しています。その中でも特に影響力のある規格が「RoHS(Restriction of Hazardous Substances:有害物質の使用制限指令)」です。PCBやPCBAの製造に携わる企業にとって、RoHS準拠は多くの市場で法的義務であると同時に、環境への責任と品質保証の証でもあります。
この記事では、RoHSとは何か、なぜPCB製造において重要なのか、そして自社製品をRoHS準拠にするための方法をわかりやすく解説します。

RoHSとは?
RoHSは2003年にEUで初めて制定された指令(2002/95/EC)であり、現在はRoHS 3(2011/65/EUおよび2015/863の改正)によって規制されています。RoHSは、電気-電子機器(EEE)に含まれる10種類の有害物質の使用を制限しています。
RoHS 3で制限されている物質は以下の通りです:
鉛(Pb)
水銀(Hg)
カドミウム(Cd)
六価クロム(Cr6+)
ポリ臭化ビフェニル(PBB)
ポリ臭化ジフェニルエーテル(PBDE)
フタル酸ジ-2-エチルヘキシル(DEHP)
フタル酸ブチルベンジル(BBP)
フタル酸ジブチル(DBP)
フタル酸ジイソブチル(DIBP)
これらの物質は、はんだ、難燃剤、めっき材料、可塑剤などに多く含まれており、不適切に処理された場合、環境汚染や健康被害のリスクを伴います。
RoHS準拠がPCB製造で重要な理由
世界市場への合法的な参入
EU、イギリス、中国、カリフォルニア州など、多くの地域ではRoHS準拠が法的に義務付けられており、違反すれば製品のリコール、通関拒否、罰金、ブランドイメージの損失につながる可能性があります。
作業者とエンドユーザーの安全性向上
有害化学物質の排除は、工場での作業者と、使用-廃棄する最終消費者の安全性を同時に確保します。
サステナブルなブランドイメージの確立
環境意識の高い企業や消費者は、環境に配慮した製品を選ぶ傾向が強く、RoHS準拠のPCBは持続可能性への高い関心を示すものとなります。
RoHSがPCB製造プロセスに与える影響
RoHS準拠のPCBを製造するには、材料選定からはんだ付け、部品調達に至るまで、さまざまな工程での配慮が必要です。
鉛フリーはんだ
従来のSn63Pb37はんだに代わり、以下のような鉛フリー合金が使用されます:
SAC305(96.5% Sn、3.0% Ag、0.5% Cu)
SnAgCu合金
錫-銅(SnCu)
これらは従来よりも高い温度(通常240~260°C)での処理が必要で、PCB材料や部品への熱的負荷が増すため、設計段階から耐熱性を考慮する必要があります。
RoHS準拠の表面処理
鉛を含むHASLの代わりに、以下のような処理が選ばれます:
ENIG(化学Ni/Au)– 高精度部品に最適
鉛フリーHASL – コスト低だが平坦性に劣る
OSP(有機はんだ保護)– 環境負荷が少なくコスト効率が高い
無電解銀-錫 – 特定用途に適応
材料と基材の選定
FR4や高Tgラミネートなどのベース材料もRoHS準拠である必要があります。高温処理に耐える熱安定性と、低いCTE(熱膨張係数)を持つ材料が推奨されます。
部品の準拠性確認
すべての部品(IC、抵抗、コンデンサ、コネクタなど)はRoHS認証が必要です。1つでも非準拠部品があれば、全体が不適格になる恐れがあります。
必要書類:
*適合証明書(CoC)
*材料宣言(MD)
*第三者試験(XRF分析など)
RoHS準拠の検証方法
*RoHS認証を取得している信頼できるPCBメーカーと提携
*適合証明書や検査報告書の取得
*BOM作成時に部品データベース(SiliconExpert、Octopartなど)で確認
*必要に応じて外部ラボでの試験(XRFやICP-OES)を実施
よくある誤解
中国RoHS、韓国RoHS、米カリフォルニア州など、RoHSに準拠したまたはそれ以上に厳格な規制は世界中に広がっています。
「RoHSとREACHは同じ」
RoHSは電子機器に含まれる有害物質を規制しますが、REACHはすべての消費財における化学物質の管理に関する規制です。両者は補完関係にありますが、別の規制です。
まとめ
RoHS準拠のPCB製造は、単なる法令順守にとどまらず、安全性、持続可能性、そして国際市場での競争力を証明するものです。設計段階から適切な素材と工程を選び、RoHSに準拠したPCBを製造することにより、ユーザーと地球環境の両方を守ることができます。
PCBまたはPCBAのパートナーを選ぶ際には、RoHSの知識と実績を持ち、全工程で準拠した製造を行っている企業を選びましょう。PCBGOGOでは、RoHS準拠の高品質PCB製造に対応しており、証明書の提供や材料選定のサポートも万全です。今すぐ PCBGOGO にアクセスし、環境と品質に配慮した基板製造を体験してみませんか?
IPC規格の徹底解説:PCB品質と信頼性のガイドライン
プリント基板(PCB)製造の分野では、優れた品質と信頼性の確保が不可欠です。コンシューマー向け電子機器から重要な医療機器に至るまで、PCBの性能は製品の成否を左右します。IPC規格は、PCBの設計から製造、組み立てに至る全プロセスにおける一貫性、耐久性、精度を確保するために、世界的に認知されたフレームワークです。
IPC規格とは?
IPCは1957年に設立され、かつてはプリント回路研究所として知られていました。現在は電子産業連結協会(Association Connecting Electronics Industries)として、電子製品の品質、信頼性、製造可能性を保証するための規格を策定しています。特にPCBに焦点を当て、設計者、製造業者、OEMなど数千社が会員として参加し、エレクトロニクス業界の基盤を形成しています。
IPC規格は、設計や材料選定から組立、検査に至るまでPCB製造のあらゆる段階をカバーしています。たとえば、IPC-2221は導体間隔(例:500V用途では最小0.1mm)や熱管理などの一般設計原則を定めており、IPC-6012は剛性PCBの性能基準を規定し、はんだ付け性や構造的完全性に関する詳細が記されています。これらの規格に準拠することで、製造業者は欠陥を最小限に抑えつつ、厳格な性能要件を満たすPCBを生産できます。
なぜIPC規格がPCB品質にとって重要なのか
IPC規格は単なる推奨事項ではなく、PCBが想定された用途で確実に機能するための鍵です。その理由は以下の通りです。
サプライチェーン全体の統一性
IPC規格は共通のフレームワークを提供し、設計者、製造業者、検査員の間で整合性を持たせます。たとえば、IPC-2581はデータ交換フォーマットを標準化し、製造現場でのGerberファイル等の設計情報の正確な解釈を可能にし、誤解やミスを削減します。これは複数のステークホルダーが関わる複雑なプロジェクトでは特に重要です。
信頼性と耐久性の向上
IPC-6012などの規格は電気的-熱的-機械的性能を規定しています。たとえば、剛性PCBは288°Cで10秒間の熱ストレステストに耐えなければなりません。これは自動車電子機器など過酷な環境下で使用されるアプリケーションにとって極めて重要です。
法規制と安全性の遵守
IPC規格への準拠により、航空宇宙や医療機器などの厳格な規制要件への適合が容易になります。コンプライアンスは高額なリコールや安全上の問題のリスクを最小限に抑え、メーカーと最終ユーザーの両方を守ります。
主要なIPC規格とその役割
PCBの品質と信頼性に関する主要なIPC規格を理解することは、エンジニアにとって極めて重要です。以下に代表的な規格を紹介します。
IPC-A-600:プリント基板の許容基準
IPC-A-600は、裸基板の外観検査基準を定めた主要な規格で、傷、空洞、導体間距離などの欠陥許容値を定義します(例:クラス3基板では最小0.05mm)。この規格により、高品質なPCBのみが組立工程へと進むことができ、故障リスクを軽減します。
IPC-6012:剛性PCBの認定と性能規格
本規格は、剛性PCBの構造的完全性やはんだ付け性などの性能要件を定めています。たとえば、スルーホールの銅厚は最小25μmでなければならず、これは信頼性の高い電気接続を保証するうえで重要です。
IPC-A-610:電子組立品の許容基準
IPC-A-610は組立済みPCBの品質を規定し、はんだ付け、部品配置、清浄度に関するガイドラインを提供します。はんだ付けの外観は滑らかで光沢があり、接合角度は90°~120°が理想とされています。
IPC-2221:PCB設計の一般基準
IPC-2221は材料選定、部品配置、高電圧間隔など、PCB設計に関する包括的なガイドラインを提供します。たとえば、100V~150Vの電圧では、放電を防ぐために最小0.6mmのクリアランスが推奨されます。
IPCクラス分類の解説
IPCでは、PCBの用途に応じて3つのクラスに分類し、それぞれに厳格な品質基準と検査要件が設けられています。
クラス1:一般電子製品
玩具や家電などのコンシューマー製品を対象とし、基本機能の実現が最優先。最大10%の欠陥許容値など、寛容な基準が採用されます。
クラス2:専用サービス電子製品
ノートパソコンや通信機器など、長寿命と信頼性を求められる製品向け。スルーホールの欠陥許容値は5%までに制限され、コストと性能のバランスを実現します。
クラス3:高信頼性電子製品
医療機器や航空宇宙用途など、故障が許されない場面に使用されるPCB。100%の検査とテストが義務付けられ、はんだ付けも欠陥ゼロが求められます。
IPC規格採用の課題
IPC規格は非常に有益ですが、導入にはいくつかの課題も伴います。
リソースの必要性
クラス2-3準拠には高度な検査機器と熟練技術者が必要となり、製造コストの上昇を招きます。航空宇宙用途のPCBでは全数検査が必要なため、生産時間も延びがちです。
アップデートへの対応
技術進歩に伴いIPC規格も進化しており、継続的なトレーニングとプロセスの見直しが求められます。
コストと品質のバランス
正しいクラス選定には慎重な判断が必要です。たとえば、クラス1で十分な用途にクラス3を採用するとコストが過剰になります。
まとめ:IPC規格は高品質PCBの基礎
IPC規格は、PCBの設計、製造、組立における明確なガイドラインを提供し、エンジニアが一貫性のある性能と高い信頼性を備えた製品を構築するのを支援します。IPC-A-600、IPC-6012、IPC-A-610などの主要規格と適切なクラス分類の理解により、コスト-品質-性能の最適なバランスが実現できます。
